♪ピアノへの想い♪
父が声楽をしていたので子供の頃からピアノがあり、家の中にはいつも父の歌声が聞こえていました。自然と音楽に興味を持ち、ピアノが好きになりました。
まだピアノを習う前から、保育園の先生が弾くピアノに憧れて、先生の弾く姿をじっと観察。真似して家のピアノを触り、自分の両手で音が出せることがとても楽しかったです。その様子を見ていた父がピアノを習わせてくれました。
初めての発表会に出ることになり、先生からいただいた曲が面白くて、そして難しくて夢中で練習したことを覚えています。
温かみのある低い音がなぜか好きで、中学校では吹奏楽部でユーホニュームを吹いていました。今もチェロなど低い音が好き、ピアノの曲もどっしりとした重厚感のある曲をつい選んでしまいます。父の歌声を聴いて育ったせいかな、と思っています。
小学高学年くらいから、電車に乗って品川駅にご自宅のある先生のところまでレッスンに通いました。
高校の頃、先生の門下生のコンサートに一緒に出演させていただきました。ベートーヴェンのソナタ「ワルトシュタイン」をその時の私なりに一生懸命に弾き、弾き終えた時の充実感がきっかけになり、音楽大学に行きたいと心に決めました。
小学生から私を育ててくださった先生に大学に入学させていただき、仕事を始めてからも時間を見つけてレッスンに通いました。
とても厳しい先生でしたので、レッスン帰り駅に向かう暗くなった夜道を泣きながら歩きました。電車に乗るまでに泣き顔を落ち着かせて・・
私を育てて下さった先生は音楽にとても真摯な気持ちで情熱を持って向き合っている方、そして心が透明で純粋な方でした。私に母親のように愛情をたくさん注いでくださいました。
ピアノを通じて物事に真摯な気持ち、純粋な気持ちで向き合うことの大切さを、情熱を持って教えてくださいました。レッスンを通じて先生と自分の間に深い絆が生まれました。
長い間レッスンに通わせて下さった両親に深い深い感謝の想いと共に、先生と過ごしてきた時間が講師となった私の何より1番の宝物です。
大学時代の試験や演奏会、門下生のコンサート、管楽器、弦楽器、声楽の伴奏、私なりに色々なステージに挑戦してきました。
広いホールにピカピカに磨かれたピアノには特別な緊張感があります。ステージは日常の生活とは違う特別な空気が流れています。
背筋がピンと伸び、気持ちを集中させ、自分も特別な時間に向かう心持ちになります。
緊張感で押しつぶされそう、弱い自分に負けてしまいそうな時もありました。
それでもあの凛とした空気が流れるステージの特別な時間は、乗り越えてきたことが大きな経験となり私の財産となっています。
♪レッスンへの想い♪
生徒さんの良いところは大いに褒めて、大切なのは、足りていないところを伸ばしてあげること。それをいかに見極めるかが講師の腕の見せどころです。
ピアノの講師の仕事はお医者さんの仕事と実は良く似ていると思います。
私自身10年ほど前から原因が分からない不調を抱え、とても悩んでいました。数年前にあるお医者様に出逢い、その先生が私の不調の原因を見つけ出し私の体を整えてくださいました。生まれ変わったように元気になり、毎日が明るく楽しくいきいきしています。先生との出逢いが私の生活を大きく変えました。病院の先生には、今でも心から感謝をしています。
良いお医者さんは、患者さん1人1人の悩みを見極めその原因を個別化し、正しい指導をすることで患者さんを健康な身体に導いてくれます。
ピアノ講師の役目もとても良く似ていると思います。
生徒さんの長所や短所、性格も十人十色。そして皆さんそれぞれ悩みも違います。
指のフォームのことであったり、読譜のことだったり・・
講師の役割はその生徒さんが何に悩んでいるのか、どうしたら上達するかを正しく見極め、そして良いお薬を処方します。お薬がうまく効けば悩んでいたところが弾けるようになり、生徒さんの喜びにつながっていきます。
私がレッスンで最も大切にしていることは、生徒さん1人1人の伸びるポイントをいかに的確に見極めること、そして分かりやすい言葉で伝えていくことです。普段のレッスンで生徒さんの演奏を聴く時はとても集中して耳を傾けます。
自分の身体を整えて下さった病院の先生のように、私も生徒さん一人一人の演奏をピカピカにしてあげられるような講師になりたいと、毎日心を込めてレッスンに励んでいます。